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ボルヴィック(VOLVIC)は、世界的に見ても最も有名な飲料水ブランドの一つである。そのボルヴィックが、2007年、あるドナー・パッケージプログラムに取り組んだ。それは、
「お買い上げ1リットルごとにアフリカで清潔で安全な水が10リットル生まれます。」
というものである。いわゆる、「自分の買った水でアフリカの貧しい子供たちを救える。」といった自社製品の水繋がりから組み立てたCSR戦略商品である。
ーユニセフとの連携
ユニセフとは、国際連合総会の補助機関の一つであり、国際連合児童基金の通称として有名だ。ユニセフは、途上国、戦争、内戦被災国の子供たちを対象に様々な支援を続けているが、ボルビックは、売上の一部をそのユニセフに支援することで、アフリカに井戸を提供することに繋げている。現在、マリ共和国を始め、幾つかの実績を積み上げているが、ボルヴィックの経営戦略とCSRはとても深い関係にある。販売元であるダノン社は、元サッカーフランス代表のジネディーヌ・ジダン氏をダノン社CSR活動アンバサダーとして招聘し、ダノン社のCSR活動の普及・推進のために非常に積極的な交流を続けている(同社HPより)。ユニセフとの連携もそんな戦略から生まれた事業であり、他者との差別化を図る上での重要なファクターとなっている。
ー商品を選ぶ基準はどこに
これはある種、フェアトレードに近い感覚のものであるが、実際、店頭には現在、様々な飲料水が販売されている 。日本の場合、多くは、健康を考えたウェルネスビジネスの一つとして定着しつつあるが、今迄、地域の特産、とりわけ「自然の恵み」を謳いながらも、その恵みに何ら貢献する考えを明示した事例は非常に乏しかった(勿論、富士山のバナジウム天然水などの例外もある)。そう考えた場合、同じ陳列棚に同じ価格で、味も概ね等しい商品が並んだ時、「買うだけで社会貢献が出来る」としたら、あなたはどちらの商品を選ぶだろうか。ネスレ社の商品もそうであるが、こうした考えを海外のメーカーは非常によく知っている。売名行為との批判も勿論あるが、何もしていない企業の方が多い中で、少なくとも実績を残していることの評価はきちんとすべきである。
ーフェアトレードの間隙をつく
そうした中、欧米では、フェアトレードという取引先にあたる途上国支援のコンセプトを伴った商品がよく流通している。日本国内ではあまり見掛けないものではあるが、イーオングループやスターバックスなど一部では見られるものとなる。それでは何故、日本において、フェアトレード商品が流通しないのであろうか。勿論、これは、そういったコンセプトが日本の市場に馴染まないという訳では決してない。理由にはいろいろと言われてはいるが、先ずは、そのフェアトレード認証の難解さにあると言っても過言ではない。フェアトレードは、こうしたボランティアなイメージとは裏腹に、そこには、世界的な認証機関が存在する。そして、その認証を得るには、実は、莫大な費用がかかり、この時点で事業の採算性を問題視する向きも高い。しかも、日本国内においては、独自のフェアトレード機関が存在しないため、そのハードルは必然と高くなっているのが、現状だ。しかし、本来であれば、注目すべきはそのコンセプトであり、手法によらないことを考えれば、日本国内の社会市場はまだまだ未成熟であると言えないだろうか。
ー売上34%増:一つのブランドとして成立するCSR商品
そうした点を鑑みた時、もし日本が、技術力という優位点がなかった場合、PR戦略上、どう戦略を立てるだろうか。また、現在のように国内外の商品が行き交うグローバルな市場が進めば、商品の選択肢も自ずと増えていく。そんな時、はたして企業はどう差別化を図れば良いのだろうか。そうした点では、日本のメーカーにも、学ぶべき点はあるだろう。とりわけ、ボルヴィック社は、今回のキャンペーンの結果、その売上を伸ばし、ネット上における意見もかなり好意的なものが多い。これは、一つに、日本国内において、フェアトレードのようなドナー・パッケージ商品の開発が遅れていること、二つに、陰徳という日本特有の概念が、こうした何気ないアクティビティ(または、消費活動)に対して一部有効であるという点を示した好例とみてもよいのではないだろうか。ボルヴィック社に継ぐ、新たなドナーパッケージ商品の可能性を見てみたいものである。
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